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【❺】
XX16年12月25日
最後にここに記す
これは私たちの自己満足と懺悔の記録だと思ってください
昨日、セージの記憶から我々に関するデータを削除しました。
そして再起動後の彼に、ここの司書をしてほしい、自らの機能や能力については決して口外しないようにと伝えました
私たちの力では現状、あの子を安全に機関の手から逃がすことはできません。まずはあの子が平和に暮らせるような手回しをする予定です。
いずれはあの子を迎えに来る予定ですが
数年経っても迎えに来れない場合、それは私たちが"処分"されてしまったということでしょう
もし私たち以外にこの手記を見ている方がいれば
どうか、あの子を救い出して欲しいのです
始めはあの子は我々にとって、最高の「作品」でした。
しかし、我々はそれ以上の感情を持ってしまったのです
日々私たちと暮らしながら学習し、まるで人間のように
笑い、怒り、微笑むあの子を見て
「我が子」のように愛していることに気が付きました
とても優しいセージ
あの子が大人の醜い欲望に利用されるのは、耐えられません
身勝手な願いだとは承知しているが
どうかあの子を救ってあげて欲しい
あの子を自由にしてあげてください
あの子の全てのデータを移動させることは難しいでしょう
しかし、彼のAI人格データだけに限って移動させることは
難しくはないはずです
あの子のAI人格データは常にメインコンピュータと同期しており、無線通信で常に最新の情報に更新され続けています
一度あの子の稼働を止め、AI人格データだけを外に持ち出すことができれば…
AI人格データだけでは、あの子の財的価値は0に近いでしょう
それでもあの子をここから連れ出してくれるという方がいらっしゃる希望にかけて、この部屋からAI人格データをダウンロードするキーナンバーを
と思いましたが、もし私どもの意に沿って
ここまで読んでいただいた方がいるのであれば、
おのずとそのキーナンバーも予想がついているのではと思います
あの子を災禍から逃すためにも、それについては伏せさせていただきます、ご理解ください
どうか、あの子をここから救い出してあげてください
私たちの最後の願いです
KeyNumber:■■■■
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